ジモティーで詐欺にあったので少額訴訟をした① -裁判をするまで-

「ジモティー」で詐欺に合いました。
先に代金を支払ったものの商品が発送されず、その後連絡が取れなくなりました。

お金を取り戻すというよりも相手にダメージを与えたかった”ので、自力で少額訴訟で裁判をやってみました。

結論からいうと、相手の氏名・住所・口座番号までは把握できましたが、残念ながらお金は返ってきませんでした。

しかし非常に貴重な経験ができたので、一連の流れをまとめます。

詐欺を働こうとする人への抑制、詐欺に合ってしまった人への一助になれば幸いです。

*2019年に書いた記事のリライトになります。

こうやって騙された

僕はヤフオクでは700回、メルカリでも500回超の取引実績があります。
そのため自分ではこのような“Webでのトラブルを回避するためのリテラシーが高い”と思っていました。
しかし、こんな初歩的な詐欺にハマってしまって恥ずかしい限りです。

自分のミスを公開するのは恥ずかしいのですが、これを読んで同じような詐欺に合う方が1人でも減らばいいなと思い、恥を忍んで記事にしていきます。

僕が釣られた商品はMacBook Pro(2010)で、被害額は15,000円。
*2019年当時は相場の半額くらいでした

ジモティーのメッセージでは口座番号は連絡できないので、お互いの電話番号を交換しSMSで連絡しました。
その際に住所、出品者名と同じ法人名義のゆうちょの口座と個人名義の銀行口座の連絡がありました。

僕はこれですっかりと信用してしまいました。

振込連絡後もおまけのキーボードカバーを同梱するとか使用履歴などを連絡くれました。
「翌日の夜にヤマトで配送する」「配送したら送り状番号を連絡する」と丁寧だったので、疑っていなかったのですが、発送予定の翌日になっても連絡がなく、そこで初めて騙されたことに気づきました。

詐欺に合った時にやること

詐欺の被害にあった際に、まず連絡するのは運営元のジモティーです。
しかし、はっきりいって何の役にも立ちません。

ジモティーにはなんの補償制度もなく完全に自己責任の世界です。
一応メールで連絡するとこちらの話は聞いてくれますが、ジモティー側からの情報提供はされませんし、解決策も提示されませんでした。

ご不安かとは存じますが私どもも解決に向けてお力になれるよう努めて参りますので、ご協力のほどお願いいたします。
次の情報を本メールへの返信にてお寄せくださいますようお願いいたします。

(1) トラブルのあった該当ユーザーの情報
  ユーザー名、プロフィールページのURL、口座情報、住所等、ユーザー様がご存知の情報を全てお知らせください。

(2) トラブルのあった内容が確認できる情報
  ジモティー以外でご連絡を取り合われていた場合、メール文面の転送等、状況を把握できる内容をお教えください。

また、明日以降も該当ユーザーよりご連絡がない場合には、下記2点について早急にご対応いただくことを強くお勧めいたします。

・お振り込みをされた銀行へのご相談
・警察への被害届け提出

■都道府県警察本部のサイバー犯罪相談窓口
http://www.npa.go.jp/cyber/soudan.htm

お振込みされた銀行へご相談いただくことで、相手ユーザーの口座の凍結により返金が可能になる場合がございます。
また、警察からの照会依頼がございましたら、私どもでも該当ユーザーの情報開示などより多くのご協力をさせていただける状況となります。

上記はジモティーからの返信メールをサマリーしたものです。

パッと見は色々とやってくれるようですが、ヤフオクやメルカリと違ってジモティーでは自分で解決を図るしかありません。
自己責任で解決を図る場合、目的によって取るべき行動が異なります。

「お金を取り戻す」「相手にダメージを与える」

目的は大きくはこの2つに集約されると思います。

お金を取り戻す場合

まずは振込先の銀行に詐欺に使われた口座番号を伝えます。
僕は電話で伝えましたが、その際にジモティーや警察の情報は必要ありませんでした。

しかし僕一人の通報で口座が凍結されることもありません。
何人かが同様に被害を伝えて初めて口座が凍結されます。

口座が凍結された際に残高が残っていれば、それを被害者の被害額で頭割りして返金されるということでした。
しかし、期間的にも「半年くらいかかります」ということでしたし、そもそも意図的に詐欺を働く人間が口座にお金をプールしておくことがあり得ないでしょう。

また、銀行では振り込みを取り消す“組み戻し”という申請をすることもできます。
しかし、これは振込先の承認が必要なので、犯人が了承することはあり得ないですね。

それ以外だと“弁護士に頼む”という方法もありますが、それだと被害額の何倍も弁護士費用が掛かることになってしまいます。

以上のことから、このようなネットでの売買で詐欺に合った際に個人で銀行に連絡してお金を取り戻すことは事実上不可能だといえます。

相手にダメージを与える場合

相手に罰を与えるためには警察に頼らざるを得ません。
上記の銀行とのやり取りからお金を取り戻すのはもう諦めたので、相手を懲らしめる(≒被害届を受理させる)ことに全力投球しました。
逮捕は無理にしても相手をビビらるというか、詐欺を働いたことを後悔させたいという思いです。

何から始めていいかわからないので、とっかかりとしてまずは相手先の県警(福岡県警)へ相談の電話をしました。
そこで言われたのは”管轄は加害者の住むエリアではなく、被害者の住むエリアになる”ということでした。

同様の被害に合った方のブログやSNSを見ていると、警察に相談すると「相手に内容証明を送り、相手の住所が正しいかどうか」を確認するように求められるとのこと。
平日に警察に何度も行くのは面倒なので、事前にWEBから内容証明を送付しておきました。

内容証明の受け取りは拒否されるだろうと思っていたのですが、なんと堂々と受け取りされました。
受け取ったところで詐欺師にとって不利には働かないんだろうと思ったのですが、なんと逆でした。
(理由は後述)

警察署へ行く際にはこれまでの経緯をまとめておいた方が話が早いということだったので、下記を書類(パワーポイント)にまとめていきました。

●出品履歴(出品されていたという事実)
●出品者とのメッセージ履歴
●出品者とのSMSでのやり取りの履歴(発送予定日等)
●出品者への振り込み履歴
●出品者への電話の履歴(詐欺発生後)
●内容証明

書類をまとめて満を持して神奈川県警へ電話。
このような詐欺の相談をしたいので、担当者がいる時間を教えて欲しいとアポを取ってから訪問しました。

担当者の所属は生活相談係。
ひと通り話して言われたのは「相手が内容証明を受け取ったということは、詐欺(刑事事件)ではなく、何らかの事情で配達ができていない(民事事件)という扱いになる」ということ。

つまり被害届は受理できないと。

内容証明が受け取られていなければ、『相手がその住所に存在しない』ことの証明になるので、最初からだます気でウソの住所を伝えたことになります。
しかし今回は内容証明を受け取っているので、『一応本当の住所を教えたことになる=だます気はない』という扱いになるようです。

相手はそこまでわかっていて内容証明を受け取っているんだと思われます。

明言はされませんでしたが、今の状況だと僕が何をやっても警察を動かすことは無理だということでした。
可能性があるとすれば運営元のジモティーからのアクションとのこと。

一縷の望みを込めてジモティーのサポートセンターにこの日の警察とのやり取りを共有。
一応ジモティーからも神奈川県警に連絡を入れるという返信をもらいました。

そこにわずかな期待をしておりましたが、その後もジモティーのサポートセンターからの連絡は一切ありませんでした

こちらからせっつくと、「当窓口より警察へご連絡はさせていただきましたが、対応状況につきましては捜査状況の開示となってしまう可能性もございますため、大変申し訳ございませんが開示いたしかねております。」という返信。

「被害届も受理されていないのに、捜査するの?」という中身のない内容でした。

この時点でいわゆる“詰んだ状態”に陥りました。

ここまでは相手(詐欺師)の方が上手です。
被害届は受理されないように、つまり刑事事件ではなく民事事件の範疇に収まるように相手が立ちまわっているように感じました。

少額訴訟で詐欺師を訴えることに

お金は完全に諦めましたが、お金よりも相手にダメージを与える(詐欺を働いたことを後悔させる)ことに重きを置いて行動することにし、少額訴訟に移行することにしました。

少額訴訟は民事訴訟のうち,60万円以下の金銭の支払を求める訴えについて,原則として1回の審理で判決が出るものです。
手順も難しくないため、弁護士に頼らなくても個人でなんとかできます。

証拠には警察に相談に行った際にまとめた資料がそのまま使えましたし、訴状も30分ほどで作成できました。
訴状は裁判所のWebサイトにテンプレートや記載例がありました。

ただ少額訴訟に勝ってもお金が返ってくるわけではありません。

少額訴訟とは別に差し押さえ(少額訴訟債権執行)の手続きが必要です。
手続きが増えて面倒くさいことに加えて、費用も1万円ほど余分に掛かります。

しかし、相手にダメージを与えることと、裁判をやってみたいという知的好奇心が勝り差し押さえの手続きも進めることにしました。