僕はルアーロッドはEVAよりもコルクグリップが好みです。
見た目や握った感触が好きなのですが、気になるのはグリップに付着する汚れ。
釣りの度に洗っていたのですが、メンテナンス方法を誤るとマイナスの要素もあることがわかったので、ブログ記事にまとめています。
*2018年の記事をリライトしています。
大切に扱っていたはずが
愛用してるコルクグリップのバスロッドのうち、状態が気になった3本について、ロッドのリメイクでお世話になっているバスストップに持ち込みました。
テーパー&シェイプ カーブスター CFHC-66MHW
アングラーズリパブリック パームス フレイム FDGC-664
ダイワ ハートランドZ 672ULRS-T
日本全国の方からの御依頼でカスタムロッドの制作・ロッドの改造・ロッドの修理・リールのメンテナンスをお請けしています。 ルアー・フィッシング歴49年以上のオーナーはトップウォーター大好きの元JBプロで、トラウト・シーバスの釣りやアウトドアの経験も豊富。 遠方の方も名古屋近郊におこしの際は、ぜひお立ち寄り下さい。
店長の加藤さんに3本のコルクグリップを見てもらった結果は以下の通り。
カーブスター : コルクの欠け。欠けた部分をコルクとコルクパテで補修
常吉SP : 15年以上前のロッドにしてはめちゃくちゃ綺麗。表面をコルクパテで整形
フレイム : 重度のコルク痩せ。補修では直らないレベル
確かにフレイムはグリップのコルクがスカスカな感じがありましたが、まさかコルク痩せだったとは。
コルク痩せの原因
コルクはコルクガシという樹の皮をはぎ取ったものです。
発泡プラスチックのように多孔質で、弾力性があり水をほとんど通さないが、通気性はわずかにあり、保温性に優れているという特徴を持っている。
コルク(Wikipedia)
ルアーやフライフィッシング用の釣竿のグリップ部分にもよく利用される。滑りにくく竿の感度がダイレクトに手に伝わり、水濡れに殆ど影響されず、なにより風合いがよいため多くのルアー、フライ愛好家に好まれている。
コルク痩せの原因は“洗い過ぎ”とのことでした。
僕は使ったタックルは毎回できるだけその日のうちに洗います。
それはタックルを大切にしたいという思いからでした。
しかし結果的にはタックル(正確にはコルクグリップ)を傷めていたことになります。
ちなみに加藤さんはタックルは洗わない派でした。
見せてもらったロッドのコルクグリップはかなり黒くなっており、グリップが滑るようになったら消しゴムで綺麗にするということでした。
確かにその方がグリップへのダメージは少なそうですが、やはり綺麗な状態で保管したいという思いも捨てきれません。
そこでダメージの少なそうな清掃方法を考えてみました。
ダメージの少ない順に
①洗わない
②シャワーでサッと水洗いする
③水の中にドブ漬けする(湯船の中に突っ込む)
④激落ちくんで洗う
といったところが浮かびます
自分のこれまでのメンテナンスを振り返ると、④の激落ちくんは年に1回くらいしか使っていませんでしたが、③のドブ漬けは心当たりがあります。
所有するロッドの多くが2ピースやマルチピースということもあって、湯船の中に突っ込みやすいんですよね…。
水の中に物体を入れると水圧がかかります。
初めてウェーディングしたときに「えっ?こんなに締め付けられるの?」と感じるように、水圧にはかなりの力があります。
水圧がかかるとコルクグリップの内部まで水が入り(浸み)込みます。
浸み込んだ水分は乾燥させるときにコルクグリップの中を内から外へと移動します。
その際にコルクグリップが持っている油分も一緒に外に出してしまい、結果としてコルク痩せが発生してしまってると僕は想像します。
②のシャワーでサッと表面を流すレベルであれば水圧がかからないので、内部まで浸み込むことはないと思います。
また、ロッドを乾燥させる際にも注意が必要です。
水分は拭き取った上で、日向ではなく日陰で陰干しするというのも重要な点です。
直射日光に当てると塗装が色褪せたり、ヒビ割れが発生する原因にもなります。
まとめ:コルク痩せを防ぐメンテナンス方法
まとめると、コルクグリップは洗わないことが最もダメージが少ないということを認識した上で、
●流水でサッと流す程度に洗う
●激落ちくんなどのスポンジクリーナーは極力使わない
●水の中に漬け込まない(ドブ漬けしない)
という3点こそが、コルク痩せを回避する方法だと考えます。
それに加えて干す際は水分をしっかりと拭き取った上で、陰干しすることも忘れないでください。
補修後のロッド
コルク痩せしてしまった愛竿のフレイムですが、全面的にコルクパテを塗りこんでもらいました。
それによりグリップ内の密度を高めることで持った時のスカスカ感はかなり緩和されました。
根本的に解決するためにはコルクを交換するしか方法はないということでしたが、握った感じはかなり良くなりました。
フレイム以外の2本もキッチリと整形してもらいました。
Beforeの写真がないので伝わりにくいと思いますが、パッと見でも違いがわかるくらいにスゴく綺麗になっています。
釣具業界では年々質の高いコルクが手に入りにくくなっています。
理由はコルクの主な生産地であるポルトガルとスペイン(この2国で全世界の80%)でコルクガシ林の面積が減っているにも関わらず、世界的にワインの需要が高まっているため質のよいコルクがより高値で仕入れてくれるワインの方に流れてしまっているのがその原因です。
大切なロッドを末永く使うための一助になったらうれしいです。