グランドセイコー オーバーホール

愛用しているグランドセイコー スプリングドライブ SBGA011のオーバーホールを実施しました。

セイコーサービスセンターのオンライン修理でのメンテナンスとなります。

スプリングドライブの特徴

*旧ブログの2015年1月の記事をリライトしています

30代前半からプレミアムブランドとの仕事がメインになり、僕も持ち物にも気を遣うようになりました。
その中でも熱を帯びたのが腕時計への興味です。

それまではタグホイヤーのクォーツモデルを使っていました。
しかし、もっとこだわりの持てるモデル、ストーリーがあるモデルが欲しくなり、勢いで購入したのがグランドセイコー SBGA011です。
(現行モデルだとSBGA211に相当)

このモデルはスプリングドライブというムーブメントを採用してます。
簡単にいうと機械式とクォーツのハイブリッドです。

機械式は電池を使わないので長く(それこそ一生もの)使うことができますし、動力がゼンマイなので大きな針を動かすことができます。
デメリットは日差が大きく高級時計でも1日数秒の誤差が生じること、数年に1回のオーバーホールが必要という点です。

クォーツ式は安価で正確というのがメリットです。
ただ電池が切れると使えないことと、電子部品なのでそのパーツの製造が終わるとメンテナンスができないということがデメリットです。
また動力が電池なので針が小さいのも特徴です。
(針を重くすると電池の消費が早くなるので)

スプリングドライブは動力はゼンマイ(機械式)で、時間をクォーツで制御する方式を取っています。

クォーツを振動させるためには電気が必要ですが、スプリングドライブは電池を使わずにゼンマイのほどける力を利用して自家発電しています。

個人的には日本の技術力の高さが成し遂げた素晴らしいムーブメントだと思います。
ですが、一部からは「電子部品の入った時計は機械式とは言えない」「電子部品が入っている以上一生は使えない」というネガティブな声も聞こえてきます。

グランドセイコーについては部品の保有年数(10年)を過ぎても対応してくれると思いますけどね。

スプリングドライブのオーバーホール

そんなSBGA011も購入してから3年近く経過しました。
オーバーホールにはまだ早いのですが、最近マイナスの日差(遅れる方)が気になるようになったので、メーカーに出しました。

スプリングドライブのオーバーホール代金は46,440円(税込)です。
*2015年1月当時の価格です。現在は61,600円(税込)です

この費用には分解清掃だけでなくライトポリッシュ(外装の簡単な磨き)も含まれています。

とはいっても時計が1本買えてしまうくらいの金額なので「痛いな〜」と思ってましたが、なんと今回は無償対応としてもらえました。

保証期間は過ぎていたのですが、前回の点検からの期間が短いこと、メーカーでもこちらの指摘通りの日差が確認できたことからそのような対応にしてくれたと推測します。

ケースに一箇所ちょっと目立つ擦り傷があったのですが、ライトポリッシュで見事に消えていました。

封筒の中身は修理完了報告書と修理内容のレポートも添付してきました。

修理内容のレポートにはなぜ遅れが発生したのか、それにどう対応したのかが詳しく書かれていました。

ご指摘内容 : 1週間で5〜10秒の遅れ。
前回お預かり : 2012年09月完了 分解掃除。(2年前)
受付時確認結果 : 受入時の常温運転試験において、ご指摘の遅れ不具合を確認致しました。
原因調査結果 : 次に機械部の分解確認を行いました結果、輪列部にある3番車カナに油乾き確認しました。この影響によって、歯車の噛み合わせで、負荷が加わり、遅れが発生したと推定します。
処置 : お預かりの時計は、機械の分解掃除を行い、ケース及びバンドに研磨を施し、パッキンの交換を実施しまして、所定の検査で問題が無いことを確認できましたので、お納め致します。

仕組みと精度に惚れて購入したスプリングドライブでしたが、精度が落ちた時は正直愛着が薄まりました。
しかし、今回のセイコーの対応は僕の期待を大きく上回る感動レベルの体験でした。

費用面でサービスしてもらったというのももちろんですが、やり取りからグランドセイコーを長く使って欲しいという想いが伝わってきます。
担当の方とのやりとりもそうでしたし、修理の状況が随時確認できる専用のWebサイトが用意されている点からも感じました。

これからもこのSBGA011は大切に使っていきます。

ちなみにオーバーホール期間は約3週間でした。

オーバーホール後の精度

自宅の電波時計を使って日差を測ってみました。

腕に付けた状態 : -0.25秒/日(4日間で1秒のマイナス)
平置きの状態 : -0.5秒/日(2日間で1秒のマイナス)

プラスの精度を希望と伝えていたので日差がマイナスだったことに驚きました。

一般的に機械式の腕時計は暑いと遅れて寒いと進みます

ちなみにクォーツ式の場合は暑すぎても寒すぎても進みがちになります。

スプリングドライブの場合は機械式の逆で、暑いと進んで寒いと遅れるようです。
ただWebだと確かな情報がわからなかったので、サービスセンターに確認しました。

> ご質問の件でございますが、

スプリングドライブも少なからずとも温度変化の影響を受け
温度が上がってくれば歩度はプラスにシフトする傾向にあります。
スプリングドライブの精度平均月差±15秒(日差±1秒相当)は
気温5℃~35℃で腕につけた場合の精度です。
プラス寄りの精度をご希望でしたので精度平均月差+8秒で調整致しました。

正しい情報を得ることができたので、これからも安心して使用することができます。
グランドセイコーのアフターサービスは迅速かつ丁寧にレスをいただけるので本当に素晴らしいです。

その後の月差は使うにつれて精度が高まっていき、2ヶ月後(4月)には月差+1秒と驚異的な記録となりました。

セイコーのサービスセンターの指摘のように、暑くなるにつれて月差はプラスの傾向にあります。

5月は月差+5秒
6月も月差+5秒でした。

一番暑い7~8月でも+10秒以内に収まりそうです。
ベースが機械式であることを考えると驚異的な精度です。

ちなみにクォーツ式の腕時計は温度によって精度の補正が入りますが、スプリングドライブには温度補正の機能はありません。

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2020年に2回目のオーバーホールを実施しました。