愛用のグランドセイコー SBGA011の2回目のオーバーホールを実施しました。
4年2ヶ月ぶり2回目のオーバーホールです。
動機は遅れの発生
前回オーバーホールに出したのは4年前です。
オーバーホールするにはちょっと早いかなという印象ですが、使用時に2-3分の遅れが発生することがありました。
原因不明のまま使い続けるのも気持ち悪いので、オーバーホールに出すことにしました。
1回目のオーバーホールはコチラです。
コンプリートサービスを利用
オーバーホールは前回に引き続きセイコーのコンプリートサービスを利用しました。
コンプリートサービスとは、内装修理・オーバーホールとセットで、ライトポリッシュを行うサービスです。
配送キット
申し込みフォームよりオーバーホールを依頼すると自宅に発送キットが届きます。
配送キットの梱包方法についての手順書も同梱されていました。
手順書といっても腕時計のバックルが当たらないように厚紙を挟んで、スポンジで挟むだけです。
印字済みの送り状も同梱されているので、こちらの作業は本当に梱包するだけです。
発送前の外装の状態はこんな感じ。
使用に伴う擦り傷はありますが、大きな傷や凹みなどはありません。
オーバーホール完了
見積もり
腕時計がセイコーに到着した翌々日に修理見積もりがメールで届きました。
翌日には到着確認メールも届きます。
修理内容と見積もり金額が判明しました。
メンテナンスの時期(機械部に汚れ、油の劣化がある状況)を迎えており、オーバーホールの必要な機械状態です。
りゅうず及びケース側パイプのネジ山が磨耗しておりロック不良になっていますので交換が必要です。
コンプリートサービス、ケースパイプ交換(部品代1900円)のご案内を致します。コンプリートサービスにはオーバーホール、りゅうず交換、ケース及びバンドのライトポリッシュ(艶出し)が含まれます。
○見積金額(返送料含む)
¥55,300+税
スプリングドライブのコンプリートサービスが57,200円(税込)なので覚悟はしていましたが、オーバーホールで6万円超えはなかなかですね…
修理内容
見積もりから1ヶ月弱で作業完了と決済依頼を兼ねたメールが届きました。
その翌日に時計が発送され、愛機SGBA011が手元に戻ってきました。
同梱物は以下の5点
・腕時計本体(梱包キット)
・グランドセイコー 修理完了報告書
・グランドセイコー 修理内容ご報告
・修理明細書
・ウォッチメンテナンスハンドブック
修理内容ご報告の書類に原因や処置方法が詳しく記載されていました。
ご依頼内容 : 腕にはめているときに短時間に急に2-3分遅れることが頻発。使用していない時にはその症状は発生しない。
原因調査結果 : 機械の歯車部分に経年による油の減少および汚れが確認されました。この影響により歯車の回転に負荷がかかり、ご指摘の症状に至ったものと判断いたします。前回のオーバーホールから4年2ヶ月ほどが経過しておりますので、メンテナンスの時期を迎えたものと判断いたします。
処置内容 : お預かりの時計は、オーバーホール(脱磁含め)を行い、ケースとバンドにライトポリッシュを施し、パッキンの交換を実施しました。また、りゅうずの交換および巻真パイプの交換を行いました。この後、所定の検査で問題が無いことを確認いたしました。
ご連絡 : 機械内部に0.6mTの弱い残留磁気を検出しております。同封の「WATCH MAINTENANCE HANDBOOK」をお読み頂き、磁気製品に対してご注意下さいますようお願い申し上げます。
上記の処置内容に”オーバーホールを行い”としれっと書かれていますが、別紙の修理完了ご報告書に詳しく書かれていました。
・ムーブメントの分解、洗浄、組立、注油、各機能の点検調整を行い、パッキンの交換を実施いたしました。
今回交換されたのは「りゅうず(ロック不良)」「巻真パイプ(削れ)」と「パッキン」の3点でした。
費用
・コンプリートサービス : 52,000円
・巻真パイプ : 1,900円
・送料 : 1,400円
合計 : 55,300円(税込 60,830円)
ちなみに前回のオーバーホールの料金は46,440円(税込)だったので、1万円以上の値上がりですね。
期間
サービスを申し込んでからちょうど1ヶ月で時計が手元に戻って来ました。
セイコーに届いてから返送されるまでは3週間ちょっとでした。
擦り傷も完璧に消えて大満足です。
頻度
前回のオーバーホールは4年2ヶ月前でした。
レポートには“メンテナンスの時期を迎えたものと判断いたします”との記載がありました。
メンテナンスの時期であることは否定しませんが、不具合が発生するインターバルとしては短いと思います。
せめて6年は“不具合の兆候”くらいまでで乗り切って欲しかったのが正直なところです。
使用の頻度も毎日ってわけではないですし…。
その後の精度
精度は2週間でマイナス1秒でした。
月差に換算すると2秒という驚異的な精度です。
1週間のうち3日(月・水・金)は腕にはめて、それ以外の4日間はケースに入れていた結果です。
機械式の腕時計は暑いと遅れて寒いと進みますが、スプリングドライブの場合は機械式の逆で、暑いと進んで寒いと遅れます。
暖かくなったら歩度もプラスに向かうはずなので、1年を通したらかなりの精度が出せるはずです。
スプリングドライブのデメリット
掲示板やSNSでもデメリットについては話題になります。
・電子制御が入っているので、機械式時計と違って一生使えない(パーツの在庫次第)
・修理やメンテナンスがメーカー対応のみ
一つ目は未来の話なので推測でしかありません。
ただそのリスクがあることは間違いのない事実です。
僕は二つ目が最大のデメリットかなと思っています。
僕自身は高額品や高度なメンテナンスはメーカーにお願いしたいスタンスです。
ですが、ほかに選択肢がないことは競争を生まないことを意味します。
それは結果的に良いサービス、コストパフォーマンスに優れたサービスを生まなくなると思います。
今回お願いしたグランドセイコーのコンプリートサービスもライトポリッシュがマストで付いてくるのですが、今回のような比較的インターバルの短いオーバーホールの場合は磨きの工程なしでお願いしたかったのが本音です。
とはいえ、その辺りのメリット/デメリットを顧慮した上でスプリングドライブを選んでいるので、これで愛着が薄まることはありません。念のため。
興味がある方は、ぜひ1回目のオーバーホールの記事も読んでみてください。
“グランドセイコー スプリングドライブ SBGA011のオーバーホール(2回目)” への2件のフィードバック