腕時計のオーバーホール・修理はどこでやる?

どんな腕時計ですか?

オーバーホールや修理の出し先に迷う人も多いと思います。
僕の場合はそれがどんな腕時計かによって選択肢が変わります。

どんな…というのには複数の意味があります。

●機械式か?クォーツ式か?
●メインで使っている腕時計か?
●再販を考えているか?

もちろん費用はできるだけ安価に抑えたいという条件もあると思いますが、メリット/デメリットを踏まえた上でどこに出すかを判断してもらえたらと思います。

メーカー

予算的な問題を除けばメーカーに出すのが一番です。

<メリット>
・メーカーの専門スタッフによる品質担保
・純正部品の使用
・修理後の保証の充実

・梱包キットがあり郵送でも不安がない

<デメリット>
・修理費用が最も高額
・納期が長い
・純正部品の在庫がないと修理を断られることも

しかし、腕時計の再販を視野に入れている場合はメーカーでのメンテナンス(オーバーホール・修理)を強く推奨します。
例えばロレックスは純正以外の部品が1つでも使用されていると、日本ロレックスでのメンテナンスを受け付けてくれません。
そういったことから、日本ロレックスのオーバーホールの証明書や見積書があると本物であるという証明になっています。

またオメガのコアキシャルやグランドセイコーのスプリングドライブなど、メーカー独自の機構を持つ腕時計もそのメーカーでメンテナンスを実施するのがよいと思います。

番外編としてセイコーファイブなどの安価な機械式時計もメーカーでのメンテナンスを推奨します。

これらは分解をせずに機械(キャリパー)ごと入れ替えるという手法でメンテナンスされます。
そのため結果的に人が分解洗浄するよりも安価になるというロジックです。

7S26を搭載したオレンジモンスターも1万円ちょっとでオーバーホール(というかキャリパー交換)できました。

クォーツで不動など修理が必要な場合は部品交換になる可能性が高いので、メーカーに依頼するのがよいかと思います。
現在動いていて、オーバーホールを依頼したい場合は時計店でも問題ないかと思います。

時計店(個人経営)

費用を抑えたい場合に真っ先に浮かぶのが個人経営の時計店ではないでしょうか。

僕の経験でも一番安価なのが個人経営の時計店でのメンテナンスでした。
シチズン ホーマー(手巻き)のオーバーホールをお願いしたところ、送料・税込で1万円以下で実施いただけました。

<メリット>
・圧倒的に安価
・納期が速い
・同じ人に面倒を見てもらえる

・パーツがない場合は作ってもらえる

<デメリット>
・修理後の保証がない
汎用のパーツが使用される

個人経営のお店の場合は良くも悪くも属人的で、お店の人のスキルや考え方に左右されるという特徴があります。
それは”融通が利く”ともいえるので、そのメリットが当てはまる場合は個人店に出すという選択肢が高まります。

例として、中古の腕時計を買ったお店がメンテナンスもできる場合はそこに出すのもよいと思います。
販売時のメンテナンスや状態の履歴が残っている可能性が高いので、その時計に合ったメンテナンスが期待できます。
先述のホーマーは購入した長崎の時計店(松尾時計店)でオーバーホール実施しました。
そこで購入したということもありますが、約1万円で請け負ってくれました。

また自宅や勤務先から近い時計店も有力な選択肢です。
何かあった場合に気軽に来店できるのは安心感につながりますし、顔を見て話す方が多少の無理もきいてもらえる可能性が高いです。
逆の視点で見れば、お店の人もそういう人には変な対応をしにくいともいえます。

個人店のデメリットは多くの場合に保証がないことです。
保証がなくてもお店にいって相談すればある程度のことには対応してくれるとは思いますが、遠距離の場合は塩対応される可能性もありますし、何より送料や交通費が掛かります。

また最大のメリットはお店が倒産してしまった場合に腕時計が返ってこないケースが考えられることかもしれません。
過去にもそういった事例がいくつかります。

修理業者・時計店(大手)

大手の修理業者・時計店の場合はメリデメともにメーカーと個人店の中間に当たります。

見方によっていいとこ取りとも中途半端とも取れるので、最初に書いた”メンテナンスに出したいのはどんな時計か?”という視点で考えてもらえるとよいと思います。

<メリット>
・適度に安価(適正価格)
・修理後の保証がある

・梱包キットがあり郵送でも不安がない

<デメリット>
汎用のパーツが使用される

価格面と保証の2つが大手の修理業者・時計店でメンテナンスを実施するメリットといえます。

生活者視点ではメーカーでのメンテナンス費用はメーカーの言いなりにならざるを得ません。
しかし時計店の場合は市場の競争原理が働くので、適切な価格に落ち着きます。

またほとんどのお店で1年保証もセットになっていることがほとんどです。
オーバーホール実施後に日差が大きくなることもままある事例なので、保証が付いていると安心できます。

ただ純正部品が入手できない場合には汎用のパーツが使われる可能性が高いです。
パーツが純正でないからといって品質に影響することはほとんどないと思われますが、先述のように再販性には影響があります。

そのため偽物が出回っていないブランドの腕時計(ようはロレックス以外)や、ロレックスでも一生手放さないと決めた腕時計の場合は大手の修理業者・時計店に依頼することの恩恵は大きいと思います。

おススメの修理工房

大手時計店であれば個人的には「ALLU WATCH REPAIR」をおススメしたいです。

聞きなれない社名ですが、22年11月に「時計修理工房 なんぼや」から社名変更した会社で、全国に120店舗以上を展開する「なんぼや」グループの時計修理工房という立ち位置は変わりません。
上場企業のバリュエンスホールディングスのグループ企業なので、経営面での不安はありません。

修理実績に費用も掲載されていますが、メーカーの半額から2/3くらいの価格感のものが多いです。
見積もり費用だけでなく送料も無料なので、興味がある方は問い合わせしてみてください。

ラルフローレン サファリRL67のなんぼやの見積もりはキャンペーン価格もあり24,000円でした。
メーカーで実施した場合の半額なので、かなりお得感があると思います。